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扁平足とランニング障害《2/8追加》

ランニングと偏平足

【扁平足とランニング障害】を追加しました。(2/8)

目次

痛くなければ放置して良いのか?

扁平足だからといって痛みや違和感がない場合もあります。見た目も気にしなければ放置してもよいのでしょうか?

今は問題がなくても、将来において痛みなど発症することが考えられます。
扁平足であるということは一つ以上のリスク要因を持っているということを理解しておかなければなりません。
加齢によって組織はどうしても弱くなってきますのでアーチ構造はさらに低下してゆきます。足部に限らず身体を支える各所の筋肉の衰えや柔軟性の欠如も相まって種々の障害に結びつきやすくなるのです。

ランニングは扁平足への対応策か?

ランニングは健康維持に大きな効果があります。負荷をかけるということは、筋組織を強化するという観点では障害予防ですが、疲労とダメージを与えているという観点では故障の引き金でもあります。
偏平足に関しても、走ることで足のアーチを構成する組織を強化して進行を抑制することにもなりますが、偏平足という足の特徴は足底腱膜炎やシンスプリントなどのランニング障害のリスク要因でもあります。

将来に対しても講じておきたい対応策

将来における健康な足、歩行のためにも対応策を講じておくことは有意義です。ランナーはもちろん、登山やウォーキング、他のスポーツを嗜む人、シニアの方々はなおさらです

具体的な対応策

正しいシューズフィッテング、オーダーメイドインソール、正しい歩行姿勢、ランニングフォーム、身体の癖や歪み、弱点を改善するエクササイズなどをご検討ください。

早めに取り組むほどリスク回避になります

扁平足とは

そもそも、扁平足とはどんな足でしょうか?
足の土踏まず、いわゆる内側縦アーチが低く、わかりやすく一言で言うと「地面にベタっとついている足」でしょうか。「べた足」という言葉も聞きます。

快体健歩 偏平足とは

真の扁平足、偽りの扁平足

自分の足が扁平足だと思っている人は結構いらっしゃいます。真に扁平足の方もいれば、実際にはそうではないにも関わらず扁平足だと思い込んでいる偽りの扁平足の方も少なくありません。
シューズ販売、リフレクソロジー、オーダーメイドインソール作成と、長年足を見続けてきた経験から、自称扁平の方のおよそ3割は、私の判断では偽りの扁平足…いわゆる思い込みです。
逆に、真に扁平足であるにもかかわらず、認識していない人も一定数いらっしゃいますが、多くは判断できていないのではなくそもそも関心が無い、気にしたことがない…ということのようです。

扁平足の診断

客観的な診断方法としては、アーチ高率(足長に対する舟状骨粗面高の割合)の算出結果によるもの、レントゲン写真上の距骨の角度と第一中足骨の角度による重症度分類、フットプリント画像をての診断・重症度分類などがあります。
しかしながら、素人はもちろん、整形外科医、理学療法士、シューフィッターなどの専門がいる場においてでも、いつも実際に計測、算出されるわけではありません。
ランニングシューズのショップでは足の3D計測結果にアーチ高率が記載されていることもありますが、その数値の判断基準がわかっていない場合も多く、説明を受けることは稀です。
そして多くの場合は見た目で判断されるために、様々な理由も相まって多くの偽りの扁平足が出現することにもなっているようです。

偽りの扁平足が生まれる理由
  • アーチ高率を測定したことがない
  • そもそも他人の足をじっくり見たことがなく、比べることができていない
  • 前足部にかけて扇型になっているので「広がる=ベタ」という感覚につながる
  • 日本人は特に「足は下(しも、げ)、劣るもの」という感覚があるらしい
  • 自分の容姿を「イケてる」と言わない、思わないのと同じで謙遜的自己診断

真の扁平足の要因

真の扁平足の成り立ちには、先天的なものと後天的なものがあります。
生まれたばかりの赤ちゃんにはアーチがありません。幼少期を経て成長するにしたがって運動と食事でアーチが形成されてゆきますが、この時点でアーチ形成がみられないのが先天的な扁平足です。子ども自身は判断できないので、親が日ごろからチェックして、疑いがある場合には早めの診断、対処が求められます。
一方で、形成されていたアーチが、運動不足やシューズのミスフィッティングなどの原因で崩れて変形して生まれるのが後天的な偏平足です。
また、遺伝も要因ということもあるようです。データは取っておりませんが、経験から母と娘の足は似たような形をしているという実感はあります。

扁平足で何が悪いのか?

具体的に何が問題なのか考えてみましょう。

扁平足の問題点
  1. 扁平足障害(痛い、歩行困難)
  2. 見た目がかっこ悪い?
  3. 疲れやすい?
  4. 運動パフォーマンスが劣る?
  5. 合う靴が無い!
  6. 障害の要因となる?

1.扁平足障害(痛い・歩行困難)

偽りの扁平足も含め、扁平足は珍しいものではないだけに他の障害に比べて深刻に思われにくいですが、度合いの重い「扁平足障害」は立位や歩行の動作に痛みを伴って日常生活に支障をきたします。

2.見た目がかっこ悪い?

美的感覚と価値観の問題かもしれませんし、素足が他人に見られるシーンは限られます。かといってコンプレックスになっている人にとっては深刻な問題です。

3.疲れやすい?

一般的に「扁平足は疲れやすい」と言われます。学校でも習いました。理論的には、「足のアーチ構造が理想的に機能しないことが立位や歩行の不安定につながり、その結果として余計なエネルギーを使う・・・疲れやすい」という説明ができます。
しかしながら疑問もあります。扁平足は急性で起こる症状ではありませんから、同じ人(身体)において扁平足の場合とそうでない場合の疲労度を比べることはできません。また、疲労度とは主観的なものです。扁平足の人に「扁平足だから疲れるでしょう」と聞いたところで、比べることができない限り、的確な判断することは難しいと思われます。

4.運動パフォーマンスが劣る?

前述の疲れやすさと同様に、これも比較検証が難しいので本当のところはわかりません。また、ランニングに限らず、プロのスポーツ選手やトップアスリートの方の中にも扁平足の人がいらっしゃいます。

5.合うシューズが無い!

靴の多くは一般的な足の形に合わせて作られます。シューズ選択の基本は足長、足囲、足幅の適合度合いですが、扁平足の場合は足幅に合わせると足長を大きい方へ妥協せざる得なくなったり、またその逆になったりと、足の形(ラスト)が平均的な形から遠ざかるほど適合しづらくなります。
扁平足のシューズ選択においては、足囲と足長のバランスから導かれる[D、E~4E、F、G]の指標では、右寄りのサイズ(ウィズ)を検討することがセオリーですが、足囲は横幅に甲の高さも加わった値になるので、残念ながら結果的にフィットしないことも普通に起こりえます。
シューズフィッティングは、足の柔軟性、加重バランス、シューズの屈曲性、材質など複数の要素が絡み合うので、こだわればきりがありません。様々なチェックポイントの自分なりの優先順位と妥協レベルを持った上で、いかに数多く試し履きするかということに尽きます。

6.障害の要因となる?

アーチ構造に問題があるということは、後脛骨筋腱や拇趾の屈筋群など、足底の筋腱の位置や方向、伸縮が普通と異なることを意味します。こうした状態で負荷をかけられることにより腱炎のリスクが高まります。
また、着地の衝撃吸収が不十分であったり離床(蹴り出し)の動作が滑らかにできなかったりすることが関連部位の障害を引き起こすリスクとなります。

偏平足とランニング障害

扁平足が関与しうる主な障害
  • 腓骨筋群・長趾屈筋群・前脛骨筋・後脛骨筋などの腱炎 
  • シンスプリント 
  • アキレス腱炎 
  • アキレス腱付着部炎 
  • アキレス腱滑液包炎 
  • 踵骨骨端症 
  • 中足骨骨頭痛 
  • 外反母趾による痛み、内反小趾による痛み、骨膜瘤(バニオン) 
  • モートン病 
  • フライバーグ病

(どれもランニングが発症のリスクとなる障害です!)

さて、靴や足を扱う現場では、「足が痛い」との訴えに対して足を診て扁平足と判断すれば、それが痛みの原因と判断されることが多いと思われます。
先月ご来院された方にも、足の内くるぶしの後方が痛いとのことで整形外科を受診したところ扁平足が原因だと診断されたようですが、踵骨の過度の外反と骨の突形状が主要因との見立てをさせていただいて対策を講じました。
また、少し前の話になりますが、ランニングのスピードが向上しない原因としてコーチから「扁平足なのでフォアフットの着地ができないから」といい加減なことを言われた方もいらっしゃいました。
偏平足を足部の諸問題の根源のように扱うのは困ったものです。浮指や骨盤のゆがみに関しても同様に、痛みや腰痛、肩こりからランニングフォームまでの諸問題の根源として扱われる傾向があるような気がします。

ほとんどのランニング障害は、身体要因、トレーニング要因、ランニングフォーム要因、シューズ要因の幾つかが該当して起こります。身体要因はさらに、骨、筋肉、腱、靭帯などの各組織の大きさ、形、位置、強さ、柔らかさなど、多岐にわたり、扁平足はそれらの幾つかから成る一つの足のタイプを表現したものです。
扁平足はすべて障害に至るわけではありません。また、偏平足だけを要因とする痛みや歩行困難の「偏平足障害」もありますが、多くの場合は足部において偏平足以外に次のような特徴も持ち合わせていることが多いようです。

扁平足と合併して障害に至る足の特徴

扁平足と合併して障害に至る足の特徴
  1. 踵骨の外反
  2. 足部の関節(ショパール、リスフラン、MP)が硬い
  3. 外反拇趾、内反小趾、開帳足
  4. 足底の皮下脂肪が厚く柔らかい

これらは専門の知識や経験がなければ判断しにくいものです。

1.踵骨の外反

「踵骨外反扁平」という用語があるくらい偏平足とセットになっていることの多い特徴で、文字どおり踵が外側に傾いているタイプです。(右足を例にとれば、後ろから見た場合、ふくらはぎの中心軸に対して踵の部分が右側=外側にずれている)後脛骨筋腱炎、シンスプリント、足底腱膜炎、アキレス腱付着部炎、アキレス腱滑液包炎などのリスクとなります。

踵骨外反

2.足部の関節(ショパール、リスフラン、MP)が硬い

それぞれの可動域の制限(背屈または底屈)は、偏平足またはハイアーチとの関連性が高く、下腿の筋肉(ふくらはぎ、脛、アキレス腱など)や腱の障害のリスクとなります

3.外反拇趾、内反小趾、開帳足

開帳足とは足の横アーチが下がってしまっている状態のことです。これにより足の中足骨の位置が骨尾から骨頭に向かうにつれて内側や外側に開き、外反母趾や内反小趾を招く主要因となります。総じて足幅が広くなり、シューズの選択やフィッティングに苦労するだけではなく、中足骨の骨頭痛や腱膜瘤(バニオン)、モートン病、フライバーグ病などのリスクとなります。

外反母趾
外反母趾
開帳足
偏平足+開帳足

4.外足底の結合組織が弱い(緩い・柔らかい)

足底の皮膚と筋肉の間にある皮下組織の厚さや柔らかさにも個人差があります。偏平足は接地から離地にかけて皮下組織が受ける衝撃や伸縮の面積が、その分大きくなります。その結合組織が弱い場合は、接地における腓骨筋群、長趾屈筋群、前脛骨筋、後脛骨筋などの腱における過度や不自然な伸長や捻転を招き、障害のリスクになると考えます。

この記事は今後、内容を追加してゆく予定です。

ランニングと偏平足

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