※このレクチャーは、マラソン等長距離走においてレース完走や自己記録の更新または維持という走力向上を目標においている市民ランナーを対象としたものです。
週3回の場合のトレーニングメニュー構成(5)
命名、幕の内トレーニング
特に週3回以上のトレーニング頻度のランナーにおすすめのメニューバリエーションを紹介していますが、今回は「幕の内トレーニング」です。
これまで「コンバインドトレーニング」と命名していましたが、カッコよくないけど解りやすいようにこれからは「幕の内トレーニング」と言うことにします。
幕の内弁当を思い浮かべてください。一食分の弁当箱にいろんな栄養素、味わい、楽しみが美しく収まって完結しています。これに倣って1回のトレーニングにフォーム改善走やアップダウン走、スピード練習やペース走のエッセンス、運動器改善の補強運動を詰め合わせます。弁当に負けないくらい効果を楽しく味わいましょう。
弁当と異なる点は、弁当は食べる順番が自由でしみの一つであるのに対して、トレーニングでは行うメニューの順番が決まっていることです。徐々に負荷の高いものへ移行することでパフォーマンスを上げるとともに故障リスクを軽減させるためです。
どんな幕の内(メニュー構成)にするかは、環境と時間、それぞれの課題やその他の日のトレーニング内容によります。自分に最適に効果的なメニューを作りましょう。
幕の内トレーニングの具体例
練習時間トータル90分。坂道、階段、スピードを出せる最低500m以上のノンストップコースがある環境を想定します。河川敷の土手などは好適です。
- ウォームアップジョグ(5分)
- 準備体操、動的ストレッチ(8分)
- バリエーションウォーク・速歩(2分)
- ジョグ~ランニング(5分)
- 階段バリエーション(5分)
[a.速歩 b.ピッチ走 c.1段とばしストライド速歩 d.1段とばしストライド走] - 坂道アップダウン走(7分)
[a.速歩 b.ピッチ走 c.ストライド速歩 d.ストライド走 e.その他]
※それぞれ1、2本目は心拍数を上げずにフォームを意識し、3、4本目はややペースを上げて、次のペース感覚走への 準備 - ペース変化走またはビルドアップ走(33分)※後半3000m分をスピード練習としてもよい
- クールダウンジョグ(5分)※意識の持ち方でフォーム改善も兼ねる
- 補強筋力トレーニング(5分)
- クールダウン静的ストレッチ(15分)
幕の内トレーニングのポイント
フォーム改善のドリル練習やウォーキング、筋トレなどは「やったほうが良いと思いつつやっていない」もしくは「たまにしかやらない」トレーニングメニューの代表的なものの一つですが、これらは短い時間でも定期的に行ってこそ効果を生みますから、幕の内トレーニングの中に入れ込んでしまうことで構えることなく自然に行いやすくなります。
紹介した例では普通に走るのは33分ですが、短い時間だからこそペースの精度にこだわりましょう。サブフォー、サブスリーを目指すランナーならキロ5秒以内の誤差で取り組みたいです。ペースコントロールのスキルアップにもなりますし、細かく設定することは一気に欲張らず徐々にレベルアップすることにつながります。
ロングペース走やLSD、スピード練習の日への「つなぎ」といった明確なテーマであるならばそれで良いのですが、時間と天候と調子任せでなんとなくタラッと「それなりの走り」をするのであれば、・・・特に週2回もそうした走りをするのであれば、そのうちの週1回トレーニングを「幕の内」に充てることで走力向上に繋がると思います。
週3回以下のトレーニング頻度のランナーがスピード練習を行うならば、特に経験が浅く年齢が高いランナーほど、インターバル走に取り組むよりも「幕の内」の中にビルドアップ走を入れるなどして負荷を上げることをおすすめします。インターバルは走力と経験を積んでからでも良いでしょう。
・例では普通に走るのは33分ですが、短い時間だからこそペースの精度にこだわりましょう。サブフォー、サブスリーを目指すランナーならキロ5秒以内の誤差で取り組むことで、ペース感覚、コントロールのスキルアップにもなりますし、細かく徐々にレベルアップすることが着実なレベルアップにつながります。
・長い距離のペース走やLSD、スピード練習の日への「つなぎ」が明確な目的であるならばそれで良いのですが、時間と天候と調子任せの「それなり走り」をするのであれば、その「週1回トレーニング」を「幕の内」に充てることで全体的な走力向上に繋がると思います。
・週3回以下のトレーニング頻度のランナーがスピード練習を行うならば、特に経験が浅く年齢が高いランナーほど、インターバル走に取り組むよりも「幕の内」の中にビルドアップ走を入れるなどして負荷を上げることをおすすめします。インターバルは走力と経験を積んでからでも良いでしょう。
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