※このレクチャーは、マラソン等長距離走においてレース完走や自己記録の更新または維持という走力向上を目標においている市民ランナーを対象としたものです。
週2回の場合のメニュー構成(更新版)
前回までは週3回以上、4回、5回・・・の場合のトレーニングメニュー構成を紹介してまいりました。今回は逆に少ない方、週2回の場合についてです。既に[本講座ー6]で週2回の場合のトレーニング構成を取り上げておりますが、前回取り上げなかったスピード練習を含んだ構成案など幾つかを追加提案たします。
マラソントレーニングの基本をシンプルに考えると「長く走れるようになること×早く走れるようになること」ですから、それぞれの能力を磨く二つのトレーニングとして、週末などに「ゆっくり長く」のスタミナ向上を行い、平日に「短く速く」のスピード練習を行うという構成が浮かびます。
そして、めざす走力はレース結果として発揮できるように完成されていなければ意味がありませんから、レースペースを意識した走り「=ペース走」(レースシミュレーションとしてのロングペース走も)も必要になります。
(ロングペース走とLSDの必要性については [本講座ー6]でもう少し詳しく解説しています。)
週2回の中にスピード練習・・・のリスク
そこでまず、次のような構成案が考えられます。
(1週目)スピード練習とロングペース走
(2週目)スピード練習とLSD
毎回高い負荷になるツラさを和らげるために、
(3週目)スピード練習とアラカルト
とすることもできますが、それでも3週間で計6回のうち5回が負荷の高いトレーニングになり、故障のリスクは高いです。年齢が若く運動経験が豊富であれば回復力も早く問題なくこなせるかもしれませんが、初心者に近いほど、また、年齢が高い人にはおすすめできません。
故障に至らなくても、メリハリがないことで慢性的な疲労、精神的なストレスに陥って、練習成果が上がりません。
幕の内トレーニングをベースにした週2回構成
そこで登場するのが[本講座11週3回の場合のメニュー構成(5)]で紹介した幕の内トレーニングです。1回の練習をガッチリとスピード練習に充てるのに比べると甘めの負荷になりますが、そのエッセンスを盛り込めているので一定の効果は期待できます。さらに、ランニングフォーム改善やアップダウンでの運動器改善にもアプローチできますので、週2回の場合の平日メニューとしてはうってつけです。
(1週目)幕の内トレーニングとロングペース走
(2週目)幕の内トレーニングとLSD
(3週目)幕の内トレーニングとアラカルト
さらにメリハリをつけたい人は幕の内トレーニングの内容を、運動器向上メイン、ペース感覚メイン、フォーム改善メインなどにアレンジして隔週展開すると良いでしょう。
スピード練習無しの週2回構成
経験や走力によっては、伸びしろがたくさんありスピード練習の取り組みが無くてもマラソンの走力を向上することができる人や、スピード練習はやりたくないという人もいます。そうしたランナーにおいては、平日のメニューをショートペース走にするのも良いでしょう。
(1週目)ショートペース走とロングペース走
(2週目)ショートペース走とLSD
(3週目)ショートペース走とアラカルト
ショートペース走はつなぎのメニューとしてコンディショニングの上で重要なだけではなく、速さや心拍数などをきっちりと記録して距離や速さを計画的に行うことで走力把握と向上に大きな意義、効果があります。注意すべきは、あくまでスピード練習よりも低い負荷である点です。「せっかくなら」と欲張って追い込まないようにしなければなりません。
上で提案した平日のショートペース走をジョグに変える構成案については後日取り上げます。
(1週目)ジョグとロングペース走
(2週目)ジョグとLSD
(3週目)ジョグとアラカルト
やっぱり入れたい!週2回にスピード練習・・・の場合
話をもどしますが、それでも週2回でスピード練習を取り入れたいのであれば、次のようにショートペース走を「強」と「弱」の2種類用意して隔週で展開し、慣れてきたらショートペース走「強」をスピード練習に変化させて(速さや時間・距離などの内容を徐々に変えて)作り上げましょう。
そしてロングペース走の次のショートペース走「強」にはできるだけ日にちを空けて疲労を抜くことです。
(1週目)ショートペース走「強」とLSD
(2週目)ショートペース走「弱」とロングペース走
※この次のショートペース走「強」までに疲労を抜きます
段階を経て日常化させることで身体は受け入れやすく故障リスクも軽減できます。
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